映画『新感染』を観ての感想

 新幹線の車内に閉じ込められた状況でゾンビに襲われるというのは絶望的にも思える。しかし、ゾンビの習性をはっきりとルール化することで、主人公たちに突破口を与えているという点が興味深い。

 普通の人間と同程度に動けるゾンビ集団に大した工夫もなく立ち向かっていったり、一時離ればなれになるのを拒否することで集団全体を危険に晒すなど少々強引なシーンもみられるが、全体的には登場人物の行動に一貫性と合理性がある映画と言える。パニックを引き起こすために明らかな無能を登場させるような手法は取らず、あくまで個々の人物は自分ができ得る限り最大限の努力をもって困難な状況に立ち向かっていく。

 また、自分と娘の利益しか考えない投資ファンド勤めの主人公と、妊娠した妻を気遣いながらも周囲を切り捨てたりはしない熱い男の対比は、ベタではありながらも、観客を登場人物たちにうまく感情移入させることに成功している。

 

 一方、少し残念だったのは音楽の使い方である。役者陣の名演とシーンの切迫感で十分に心を揺さぶられているところに、さらに感動を煽ろうとするチープなメロディが大きな音量で流れ出すシーンが散見される。この点ばかりは少し不満だったかなという印象でした。

 

 とはいえ、全体的には満足感のある出来で、初めて韓国映画を観た私もほとんど違和感なく楽しめました。