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『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』ご都合主義とキャラ萌えの彼方 - 作品の感想

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感想

ご都合主義を超えて

現実世界で存在価値を見出せない主人公

 現実世界に居場所をみつけられない青年がファンタジーの世界で自分の役割を見出すという、簡単にまとめてしまうありきたりなストーリーですが、それをいかに演出するかという点でやはりティム・バートンは他の監督とは一線を画していると感じさせられる作品でした。

 この作品は、前半と後半でかなり雰囲気が変わる作品になっています。前半は主人公が不思議な世界に迷い込み、いかにもファンタジーな世界に戸惑いながらも興奮を覚えるというシナリオ。主人公のジェイクは新しい世界では基本的に歓迎されていますし(一人の男には嫌われていますが)、元の世界での扱いとは比べ物にならない特別な存在として扱われます。本来の主人公は、同級生にも無視される冴えないティーンに過ぎません。しかし、ループを繰り返す代り映えの無い世界では、彼がいかに退屈な人間であろうとも関係ありません。彼自身の魅力はそもそも求められていませんし、かつて一緒に過ごした仲間の孫だという肩書だけで、彼は十分に価値のある存在になることができます。何もできなくとも責められることはありませんし、黙っていても周囲の子供たちは好意を向けてきます。言うなれば優しい世界。

役割をみつけたことによる成長

 しかし、後半では打って変わってジェイクに重大な使命が課されます。彼のみが持つ特別な能力が世界を救いうる。彼にしか果たせない役割があり、ミス・ペレグリンは主人公にその責務を明示的に与えます。「あなた」が子供たちを守るのだと。主人公は保護され慈しまれる存在から、主体的な行動によって道を切り開いていく存在へと変化することが求められます。彼もそれに応えるように、一体どこでそんな能力を培ったのかわかりませんが(これも隔世遺伝でしょうか)、目の前に迫りくる怪物の脅威に対し冷静かつ適切な対応で子供たちを守り導いていくリーダーとして成長していきます(前兆は特にない)。

 迫りくる怪物に勇敢に立ち向かい(彼だけが対抗手段を持つというご都合主義)、彼を嫌っていた男を助けることで認められるという通過儀礼もそつなくこなしてみせます。

 終盤のホローとの戦いは音楽や演出含めてティムバートンの独特のセンスが光ります。妙に緊張感の欠けるBGMに、不気味なホローのデザインと滅茶苦茶にされる遊園地、退屈の象徴としてなぜかディスられるフロリダ。いったいフロリダが何をしたというのでしょうか。頭がおかしくなりそうです。

 

魅力的なキャラクターたち

 ストーリーはご都合主義的な展開が目立つものながらも、キャラクターの魅力は相当なものです。

ヒロイン・エマの魅力

 まずヒロインのエマがとてもかわいく魅力的です。主人公でなくとも惚れてしまうのは無理ありません。彼女は非常に体重が軽いため、放っておくと風船のように飛んで行ってしまうという特殊能力を持っています。フワフワ空に浮いていくのを防ぐために縄をくくりつけるというのも、よく分からないフェチ心をくすぐります。かつて主人公の祖父に惚れていたという何とも言い難い属性を持っていますが、そんなことは関係ありません。鉛入りのドでかい靴や驚異的な肺活量も萌えポイントのひとつです。画像を貼ってもあまり理解してもらえるとは思いませんので、ぜひ劇場で動いているエマの姿を堪能してください。

愉快な特殊能力をもつこどもたち

 さらに、後頭部にある口でムシャムシャ肉を喰らう少女、基本全裸で過ごす透明人間のミラードなど、個性的な特性でキャラ付けされたこどもたちは誰かしらビビッとくるものがあるでしょう。

まとめ 

 総合的に、強引な展開ながらも非常に愉快な作品になっていると思います。途中少々解説がごちゃごちゃしていて難解な部分はあるかもしれませんが、そこは適当に流して観ていても十分楽しめるものになっています。言葉で理解するよりも、奇妙な世界の雰囲気を感じ取ることに専念していただければ、きっとこの作品の虜になることかと思います。

映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』オフィシャルサイト