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『言の葉の庭』庭園で過ごす静謐なひとときの美しさ - 作品の感想

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cMakoto Shinkai / CoMix Wave Film

 『君の名は』で一躍有名となった新海誠監督が2013年に公開した作品。『秒速5センチメートル』からさらに磨きあげられた美しい映像表現に酔いしれることのできる作品です。

 新宿御苑を舞台として描かれる、男子高校生の孝雄と女性教師ユキノの静かな時間を描いています。今いるところよりもどこか遠くを見つめる孝雄と、日々の生活にすり減ってしまった雪乃が、お互いとの対話を通じて自分の人生に救いを見出していく様が美しい情景とともに表現されています。

 和風庭園としての新宿御苑のモチーフに、新海誠作品独特の儚くも美しい絵が筆舌に尽くし難い映像を作り出しています。彼の作風の魅力を最大限に引き出せる題材となっているのではないでしょうか。

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cMakoto Shinkai / CoMix Wave Film

 『君の名は』では隕石の衝突という大災害がドラマチックな展開を生み出していますが、対象的に本作では二人の男女の間に非常に静かな時間が流れます。重大な事件が起こるわけでもなく、孝雄とユキノ二人の内に抱えた葛藤を静かに流れる時間のなかで描いています。

 

 ちなみに、小説版では映画のエピローグに続く物語が少し追加されています。映画では語られなかった孝雄の家族の話や、雪乃を取り巻く校内の人間関係についても言及されています。過去作では悲しい結末を迎えることの多かった新海作品ですが、今作では二人が出会ったことが肯定的にとらえられるものとなっています。