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『傷物語 Ⅲ冷血編』踏み込んだ過激な描写が光る完結編 - 感想

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アニメ『傷物語』第三部冷血編の感想になります。化物語へと続くこの物語の最終章では、阿良々木暦が吸血鬼という怪異に対し、どのように向き合うのかが描かれます。第三部だけ観るという方はあまりいらっしゃらないと思うので、第一、二部との比較をメインに感想を書いていきたいと思います。ネタバレありです。

 

演出について

第一部や二部よりも、テレビ放映版の演出に近づいたような気がします。第一部では極力キャラクターのセリフをカットし絵面で状況を説明する手法をとっていました。しかし第三部の本作では、登場人物のセリフによって状況を説明するというテレビ版で見慣れた演出手法をとっていたように思います。そういった意味で、第一部を観て違和感を感じた従来の物語シリーズファンにとっても入っていきやすいつくりになっていたと思います。

劇場版だけあってテレビ版よりもキャラクターの造形が丁寧に作り込まれているので、シリーズを通して好きになったキャラクターの美しい姿が拝めるという点は非常にうれしいですね。

ただ、やはり間延びしている感じは否めなかったと思います。ラストのバトルシーン等では、多様な表現手法を用いて映像に飽きさせないための工夫がなされていましたが、それでも少々退屈な感覚を覚えました。三部作という長尺の構成はやはり無理があったのかなと思わざるを得ません。

 

踏み込んだエログロ描写

羽川と阿良々木の体育倉庫でのやり取りは、かなり熱が入っていた印象です。エロエロです。羽川が服を脱ぐ際の衣擦れ音やボタンを外す際の音が、静けさも相まってやけに期待を煽るものとなっていました。当該シーンが流れている瞬間、劇場内の男性客の集中力が一挙に向上していたように思います。気のせいかもしれません。このシーンにはかなり力が入っていたとみられ、劇場映画で許される範囲内において、いかにエロスを生み出すかという点に多大な想像力と知性が投入されたことが感じ取れました。

また、本作ではキスショットの食事シーン、阿良々木との不死身の吸血鬼バトルというグロテスク描写の多いシーンがいくつかあります。特にバトルシーンに関しては、コミカルに見せながらもバンバン首を飛ばし血を吹き出させと、絵面の表面的な綺麗さにはこだわらない姿勢がみられました。賛否両論あるかと思いますが、アニメならではの想像力豊かで自由な描写が個人的にはとても愉快でした。

 

おわりに

見どころはありますし面白い演出が多数見られた部分はとてもよかったのですが、やはり既存のファンの方以外には勧められない作品かなと思います。キャラクターへの思い入れや他のエピソードの記憶によって映像を補完しないと面白くないというきらいは否めません。逆にいうと、これまで物語シリーズを楽しまれてきた方には、ぜひこの作品も観ていただきたいと言える出来だったと思います。