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『ブラック・ミラー』シーズン3第4話「サン・ジュニペロ」肉体だけがリアルなのか - ネタバレと感想

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ヨーキー(左)とケリー(右)。

『ブラック・ミラー』シーズン3第4話「サン・ジュニペロ」より

 SFオムニバスドラマ『ブラック・ミラー』、シーズン3第4話「サン・ジュニペロ」のあらすじと感想になります。

 今回は、サン・ジュニペロと呼ばれる仮想世界で、肉体にとらわれずに好きな時代を生きることが可能になった未来を舞台として、ヨーキーとケリー、二人の女性の恋が描かれています。ネタバレありですので、未視聴の方はご注意ください。

あらすじ

 サン・ジュニペロはコンピュータによって制御される仮想の世界であり、過去の好きな時代、好きな場所で過ごすことができ、現実の自分の姿に縛られずに生活することが可能である。週に5時間だけこの世界で過ごすことができるビジター会員と、死後に意識を転送することにより、この世界の住人となった人たちから構成されている。

 内気で奥手な性格のヨーキーは、80年代のディスコクラブで陽気な美しいケリーという女性に出会う。ケリーに惹かれるヨーキーであったが、ヨーキーには婚約を考えている男性がおり、一歩踏み出すことができずにいた。

 一度はケリーからの誘いを断ったものの、彼女を忘れられないヨーキーは、勇気を振り絞りケリーに再びアプローチし、惹かれあった二人は体を重ねる。ケリーにはかつて夫がいたが、サン・ジュニペロへと移住することを拒み、亡くなってしまったという。ケリーをいとしく思うヨーキーだったが、ケリーはヨーキーの元から姿を消してしまう。

 ヨーキーはケリーを探し、90年代、2000年代と様々な時代を渡り歩く。ようやく彼女を見つけるが、ケリーはつれない態度をみせる。深く親密な関係を求めるヨーキーに対し、ケリーはひとときの愉しみを求めていただけであると語る。しかし、心の奥底で通じ合っていた二人は、再び肌を合わせることとなる。

 そして、ヨーキーは婚約を来週に控えていることをケリーに告白する。一方、ケリーも癌が全身に転移しており、現実での自身の余命が幾ばくもないことを伝える。ケリーは現実世界で会うことを提案するが、ヨーキーは、現実世界の自分は醜く、ケリーは自分に興味を持つことはないだろうと語り、ためらいを感じる。しかし、ケリーはきっと現実世界でも二人は通じ合えると信じ、二人は再会を約束する。

 現実世界のケリーは高齢者施設で生活する年老いた女性であった。一方、ヨーキーも事故で全身付随になった寝たきりの女性であり、現実世界ではアプリなしでは意思疎通をとることもできない。

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現実世界での年老いたヨーキー(左)とケリー(右)。

『ブラック・ミラー』シーズン3第4話「サン・ジュニペロ」より

 ヨーキーを見舞うケリーだったが、そこでヨーキーの婚約者であるグレッグという男性と出会う。グレッグが語ることろによると、彼は、ヨーキーが安楽死を選択し、サン・ジュニペロの正式な住人となるために婚約するのだという。安楽死に同意できるのは家族のみであるが、ヨーキーの家族は安楽死に賛成していないため、グレッグが彼女と法的な家族になることによって安楽死のサインをするという。

 ヨーキーがサン・ジュニペロへと「脱出」する前に、5分間だけサン・ジュニペロで再会する二人。その時間のなかで、ケリーはヨーキーにプロポーズする。ヨーキーはそれに応じ、二人は婚約を果たす。ケリーはヨーキーの安楽死に同意し、ケリーはサン・ジュニペロへと旅立っていく。ケリーも生きたままサン・ジュニペロへと向かい、二人はウェディングドレス姿で大切な時間を過ごす。

 ヨーキーはケリーに対し、自分のようにサン・ジュニペロに脱出してほしいと懇願する。しかしケリーは、サン・ジュニペロは所詮かりそめのものであると言い、ヨーキーの頼みを拒否する。ケリーにはかつて夫と娘がいたが、娘に先立たれており、自分たちだけがサン・ジュニペロで永遠の命を手に入れることに抵抗を感じていた。ケリーの夫は死後サン・ジュニペロの世界で生きることを拒否し、亡くなってしまった。ケリーは亡くなった夫と過ごした時間を大切に思っており、それに対しヨーキーが無神経な発言をしてしまったことで二人は喧嘩別れをし、ケリーは現実へと帰ってゆく。

 ケリーはがんに侵された体で、残り僅かな時間を物思いにふけって過ごすが、ついに彼女は決心し、ヨーキーと共にサン・ジュニペロで未来を生きることを選択する。

 

感想

 時間の価値とは何なのかについて考えさせられる作品でした。最後のシーンで、二人がサン・ジュニペロで生きる時間は、所詮コンピュータによって制御される仮想のものでしかないことが強調されていますが、それでも彼女たちにとっては尊い時間なのだと思います。時間の価値は主観的で人それぞれですから、各々の判断に委ねられるということなのでしょうか。

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ロボットによって管理されるサン・ジュニペロのシステム。

『ブラック・ミラー』シーズン3第4話「サン・ジュニペロ」より

 人間の寿命が伸びた世界を舞台とする作品では、社会保障の維持がテーマになったりすることもありますが、この世界のように前向きな死を選べるシステムというのは一つの解決になり得るのかなと思ったりもします。システムトラブルによる突然死が怖いですが、現実世界でも交通事故で死ぬリスクは常につきまとうわけですから、どちらのリスクがより高いかという程度の問題なのかもしれません。

    ブラック・ミラーシリーズには珍しい明るい終わり方の作品でした。

 

シリーズ全体のまとめ

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