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『ブラック・ミラー』シーズン3第1話「ランク社会」SNSが生み出す息苦しさ - ネタバレと感想

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SNSでの評価を上げるため、セラピストにアドバイスを求める主人公。

『ブラック・ミラー』シーズン3第1話「ランク社会」より

    SFオムニバスドラマ『ブラック・ミラー』。シーズン3の第一話では、各個人がSNSを通じてポイントをつけられ、そのポイントに基づいて社会での立ち位置が決まる世界が舞台となっています。以下にネタバレと感想を述べていきたいと思います。

 

あらすじ

    SNSでの評価ポイントを通じて人々のランクが決まってしまう社会。人はそのポイントを常に気にし、数値を上げることに固執している。評価の低い人間と関わることは、本人の評価を下げることにつながるため避けられてしまう。また、評価が一定以下に下がってしまった人間は各種サービスを利用する際も冷遇されたり、職場のコミュニティからも排除されてしまうといった不利益を被る。評価の高い人間は各種サービスを利用する際も優遇されるため、評価を上げるためのアドバイスを行うセラピストも存在する。

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目に埋め込まれた端末により、他人の評価が見えるようになっている。

『ブラック・ミラー』シーズン3第1話「ランク社会」より

    サービス産業に従事する主人公の女性レイシーもそんな社会のシステムに翻弄される一人である。ある素敵な物件を気に入るが、そこに入居するためには一定以上の評価を獲得する必要がある。そこで、既に評価の高い人間に擦り寄ることで自身の評価を高めようと、SNS上で素敵な自分を演出する。

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スマートフォンを通じてお互いに評価しあう。

『ブラック・ミラー』シーズン3第1話「ランク社会」より

    物件を確保するために急ぎポイントを上げる必要に迫られたレイシーは、高評価の友人に取り入ることで自身の評価を上げようと画策する。彼女に付き添い人として結婚式のスピーチを頼まれるも、式場へ向かう空港で受付の女性に暴言を吐いたことをきっかけに評価がドン底にまで落ちてしまい、友人からもスピーチを断られてしまう。

    飛行機を利用することができなくなったため、レンタカーで式場へ向かおうとするも、評価が低いために、レンタカー会社にもまともな車を貸してもらえない。途方に暮れていたところをトレーラーを運転する女性に声をかけられる。彼女の評価が以上に低いことから不審に思うレイシーだったが、背に腹は代えられずトレーラーに乗せてもらう。

 運転手の女性は、自身もかつては高評価の人間であったが、他人の評価を常に気にする窮屈な世界に嫌気が差し、本音に従って正直に生きるようになったところどんどんポイントが下がっていったと語る。彼女はそれでも現状に満足していると語り、主人公にもポイントに囚われるのを辞めるよう助言する。しかし、高いポイントを獲得した先に幸せが待っていると信じるレイシーは、それでもなおポイントを上げることに固執する。

    友人からは既にスピーチの役を降ろされていたものの、諦めきれないレイシーは、どうにか結婚披露宴会場までたどり着く。すでにドレスはボロボロで見るに堪えないものであったが、披露宴に乱入し無理やりスピーチを始める彼女。当然ながら招待客からは低評価をつけられ、彼女のポイントは際限なく低下していく。

 しどろもどろになりながらも、なおもスピーチを止めない彼女。スピーチの内容は徐々に友人に対する恨み言へと変わっていき、かつて新婦が自分の恋人を奪ったことにまで言及し始める。友人の自分に対する見下しに気づきながらも、それでも彼女に憧れていたことを叫ぶレイシー。刃物を取り出したところを警備員に取り押さえられ、パーティー会場から連れ出される。

 レイシーは結婚披露宴での騒動によって留置場に収監される。向かいの房に居合わせた男性とお互いを罵り合うが、そこには息苦しいランク社会から解放され本音をあらわにするレイシーの姿があった。

 

感想 

    SNSでの自己演出をかなりストレートに皮肉ったストーリーとなっています。評価を下げられないために常に他人の顔色を伺い、自分を過剰に演出する様は非常に滑稽にも思えますが、身近な人間に心当たりがある人も多いのではないでしょうか。

 本作の評価システムはポイントの高い人間はポイントの高い友人を作りやすいために高いポイントを維持しやすく、一旦評価が下がってしまった人間はどんどん評価が下がっていく負のスパイラルに陥ってしまうという、いかにも機能不全を起こしているものとなっています。現実にこのような評価システムを導入するならば、もう少し挽回のしやすいシステムにしなければ、実質的には階級制度に近いものになってしまうでしょう。

    ただ、この世界における評価ポイントを現代のお金に置き換えると少し納得のいく部分はあります。裕福な人間は豊富な資産を活用して自己投資を行えるためますます裕福になっていき、貧しい人間は資金がないために自分への投資を行うことができず、貧困のスパイラルにはまってしまうというのは現実の社会でもよく見られる現象です。

  レイシーはランク社会における信頼を失い逮捕されてしまうわけですが、暗い話の多い『ブラック・ミラー』シリーズにしては少し救いのある終わり方だったように思います。

 

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シリーズ全体のまとめ

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