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経営学の価値とは。『使える経営学』感想レビュー

   実務にあたる人間からは過小評価されがちな経営学であるが、理論が成り立つ条件指定を正しく理解していれば、そこから学ぶことのできる理論は十分に有用であると説いている。
   そして、経営学の理論が有効に機能するための条件と、実践経験から培われた「経営に関する持論」が有害になりうる場合について述べられている。


   本書で語られている「アンラーニング」という概念は特別目新しいものではなく、要は手っ取り早い結論に飛び付かず論理に照らしてよく考えるということであるが、過去の実践経験から生まれた固定観念で凝り固まった脳を柔軟なものへと変えてくれる鍵と成りうるものである。
   本書は経営において直面する問題に対する安易な解決策を与えるものではないが(そもそもそのようなものを求めてしまう姿勢こそ改善されるべきであるとするのが本書の主張)、困難な問題を解決に導くために必要な思考の持久力を育んでくれるものと思われる。フレームワークとしての経営学の価値を再確認させてくれる。

 

   ビジネス書(経営学書ではない)のなかには、どのような複雑な経営課題に対しても適用できる安易な「ベスト・ソリューション」が存在すると説く有害な書籍もある。しかし、そのようなものに頼るのは思考停止にも近いものであり、ビジネスに携わる人間として最も愚かな態度であると言えよう。

   経営学理論や過去の経験値に依拠しつつも、目前の課題を無理やりその枠組みのなかに落とし込もうとするのではなく、既存の知識が有効に働く条件が整っているかどうかを意識する必要があることを認識させられる。


   様々な経営学の理論を学び、ビジネスに役立てる上でのスタート地点として、本書は最適であるように思われる。

 

 

使える経営学

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